重岡くんが幼馴染だったら、こんな風にそばにいてほしい
幼馴染の大毅は、両親が仕事の関係でなかなか家に帰ってこない私のことを、不器用な彼なりにいつも気をかけてくれる。
高校にあがったばかりの五月初旬。今までの友達とは学校が違くて離れ離れになってしまったものの、大毅とはまた同じ学校。いつものように家まで2人でバカ話をしながら歩いてると、突然「…お前なんかあったん?」と真顔で言うから、何かを見透かされそうでつい大声で反論してしまう。
「え!ないよ?!何言ってんの?!も〜〜元気元気(笑)!!」
「そ、ならええけど。まあ、アレや、なんかあんなら言えよ、聞くし」
お、今年はバレずにすんだかな?年に一回くる「心に穴がポッカリあく時期」。あの大きい家で、ずっと1人はなかなか寂しい。
や〜〜私もとうとう隠し事ができるようになったか〜!あんだけいつも、お前アホやから嘘ついてもすぐわかんねん、とか馬鹿にしてくるくせによ〜まだまだだな大毅〜!と心の中でガッツポーズ。その後すぐ話題が変わって、言及されることはなかった。
家に帰って今日の晩御飯どうしよっかな〜と冷蔵庫を覗いてたら人参と玉ねぎが。そろそろこれ使わないとだし、確かジャガイモの在庫なくなってたよな〜〜カレーでもするか〜〜ってぽけーっと考えて、スーパーに行く準備を整える。
ピンポーンと玄関から音がして、「入るでー」と大毅の声。私に何かあったら、と両親が隣の重岡家に我が家の鍵を預けているのだ。なんて無責任な親なんだ。ドカドカと音が聞こえて「なあ今日カレー食いたい。買い行くぞ。」大毅が私の腕を引っ張る。
え、ちょうど私も思ってたわ、てかお母さんに言いなよ、って言ったら「今日オトンとデートやって。これで好きに食ってこいって。」ニカって笑ってお札をチラチラと振って見せるから、そういうことか、と納得する。
スーパーで、次々と好きな材料をカゴにいれていく彼に着いて行きながら、カートを押す。あ〜〜それ高いじゃん、こっちのが割安なんだよ!とかってたまに棚に戻すと、「ホンッマにオカンみたいやなお前!」って笑ってくるから小突いてやる。
876円です、レジでそう言われて持って来たトートバックからゴソゴソお財布を探してると、「ポイントカードは?」って既にお金を出してる大毅が聞いてくる。
「ポイントとお会計、ありがと」「それはウチのオカンに言ってくれ。笑」いつの間にか奪われていた私のトートバックに、カゴから買ったものをいれていく大毅を見ながら、あーやっぱりなんだかんだ頼れるのはコイツなのかもなーと思う。
「ボケっとすんな、行くで。」トートバック持って歩き出してる彼を、小走りで追いかけてお家へ。
あーだこーだ言いながら一緒にカレー作って、そういや部活どうすんのー?とか話しながら、2人で3人分のカレーを食べきる。
「相変わらず大食いやなお前!そんな食べたらクラスの男子ひくで!中学のヤツらとちゃうねんから!」「いーですぅ、少なくとも大毅よりは優しいもんみんな!」「そのうち化けの皮剥がれても俺庇ってやらんからな!」「うるさい!」
そんなこと言っても、率先して後片付けもお皿洗いもしてくれるし、この憎まれ口だけなくなったらいいのにな、まったく。と思う。
「食ったわ〜ほな、俺帰るわ、サンキュ」
「あ〜うん、明日ね」
「おう。…なあ、お前さ、なんかあったら電話でもせえよ」
「え、なに(笑)?なんでこの距離で電話すんの?!きもちわる(笑)!」
「アホ、まだ友達おらんやろな〜〜思って心配してやってるだけやんけ!」
「はいはい(笑) おやすみ。」
「ん、おやすみ。」
大毅が帰った私の家は、騒がしくなくて、馬鹿にされなくて済んで、落ち着きを取り戻せて、隙間だらけで、静かで、時計の音だけ聞こえて、
…寂しい。
とりあえずお風呂に入って、ドライヤーしながら音は聞こえないけどテレビをつける。
「電話…か、」
重岡大毅 がスタンプを送信しました
重岡大毅 : ごちそうさま
重岡大毅 : おやすみ
ドライヤーのスイッチを切って、スマホを見るとメッセージの通知が。ご丁寧になんとまあ、珍しいもんだ、と感心しつつ、出来心で電話をかける。
「おう、どした」
「電話しろっていうからさ。」
「素直やないな、お前」
「…。」
「…なんやねん、…俺ってそんな頼りないか?」
「…は?」
「まーた落ち込んでるんやろ、なんで俺に言わへんの?」
「え」
「わかるわ、何年一緒におると思ってんねん」
電話越しにガサガサと音が聞こえて、「今から行く、待っとけよ」と言って、私が返事をする前にブチっと切られた。
来るのか、そっか、ーーーっと、やっぱり今年もバレてたのか、まだまだなのは私じゃんか、ぐるぐる考えてるとガチャっと音がした。
「ん」「なにこれ」「鍵。見ればわかるやろ」「や、じゃなくて」「俺んちの、オカンがお前んちのだけもらうのおかしいやろ、ってこの前作ってん。来たらええんちゃう?いつでも。」
同じくお風呂上がりであろう彼は、Tシャツ、メガネ、そしてタオルを首にかけていて、久しぶりに見たかも、このカッコ。と呑気に考えていた所にコレである。鍵?いきなり来て鍵?と思ってたら、その鍵を私の手にねじ込んで、スタスタ玄関に向かう大毅が「おいてくで」って振り返るから、あ、今日?、ってなるけどついて行く。
「あれ、お母さんとお父さんは?」「デートて言うたやん、もう忘れたんか笑」「え、帰ってこないの?」「今ごろ温泉でもはいってるんちゃう?明日の昼飯食ってから帰る言うてた」
へー、そうなのか、帰ってこないのか。彼の家のリビングの定位置であるソファの端に座っていると、大毅が麦茶のはいったコップを渡してくれる。
「思ってること言うてみ、何があったってわけやないんやろうけど」
私が座ってるソファの前のローテーブルに、自分の麦茶を置いて聞く体制にはいってくれる。彼の言う通り、何があったってわけじゃない。ただ、ただ、寂しい。やっぱり全部全部見透かされている、嗚呼この人は、世界の誰よりも私のことを知ってくれてるんだ。そう思うとふいに涙が出てきた。
無言で彼が渡してくれるティッシュを受け取りながら、ぽつりぽつりと思ってることをぶつけた。何もなかったはずなのに、それはそれは長かった。それでも彼は、意見を言うでもなく、頷くでもなく、ただ、聞いてくれた。
一通り話してスッキリしたけど、このまま家に帰ってもさっきの寂しさがまた蘇るだけ。想像しただけで、怖い。
「夜、一緒に居て欲しいっていったら駄目、かな? 今日だけだから。」
しばらく沈黙が続く。
「…今日だけやからな」
「うん。大毅と同じ部屋がいい。…っていうのは、さすがにダメだよね(笑)」
思ってたことがつい口にでて、慌てて笑ってごまかす。
「ええよ」
え。
「ただし、お前は俺のベット。俺は下で寝る。それでええな?」
条件が加えられたけど、交渉は成立。
それだけ言い切った彼は、そそくさと二階の自分の部屋に向かうから、ついていく。
「お前はコレ、」掛け布団を一枚余計にもらって、自分の布団を下に敷いて、とテキパキ準備をしてくれる。
「あとコレないと寝つけへんやろ(笑)」「あっ、懐かしい、大毅もまだ持ってたんだ(笑)」小学生の時に家族ぐるみで行った水族館で、お土産に、と買ったジンベイザメのぬいぐるみ。両方の家族が全員揃ったのって、そのあと、いつだっけ?とか考えてると、「ホラ、電気消すからはよ布団入れ」って言うから急いではいる。
「おやすみ。」
「おやすみ」
「ね、ありがとね、今日。」
「ん、」
「おやすみ。」
「おやすみ」
…
「…寝た?」
「寝た」
「寝てないじゃん」
「あァ〜〜あと少しやったのにアホ!」
「懐かしいね、お泊まりすんの(笑)」
「せやな」
「大毅はさ、いつから私が落ち込んでるってわかったの?」
「…は?」
「だから、今日とか。いっつもバレるじゃん」
「当たり前やろ。今日やって、帰りながら話してもたまにぽけーっとしてるし、そー思たら急に声張るし。」
「そか」
「そういうん1人で溜めとかんと相談せえよ、」
「…。」
「…寝たんかい。( 俺きょう寝られへんかも…。 )」
目が覚める。アレ、いつ寝たっけ?話してたきがするけど、なんの話してたんだ?カーテンの隙間から太陽の光が射していて、朝だとわかる。
ベットから少し身を起こして下を見ると、そこで寝ていたはずの大毅がいない。ベットに座ってもう一度下を見るけど、いない。
…いない。昨日は金曜だったし、今日は学校ないはず。どっか遊びに行ったのかな。いないのか。またひとりか。ここでも、ひとりか。
「おい、お前なんでまた泣いてんねん」
「だって、大毅が、居なくなったと、思って、」
「アホ、水飲み行っただけや」
コップを持った彼がワシャワシャと頭をかきながらベットに座る。
「俺はどこも行かへんから。お前を置いてったりせえへんから。」
…この後はみなさんの想像にお任せします。(急に雑)
あ、でもまだプラトニックな関係なのは決まってます。純粋な恋愛をしてほしいです、この二人には。(?)
こんだけ頭の中のお話を膨らませてくれるジャニーズWESTすごい。重岡大毅すごい。
雨だし、なんか疲れてるから、すーーーごい暗いお話になった。(笑)
終わり方エモいし。(笑) とりあえず学生っていいね。制服っていいね。(泣)
以上、
この親いつ帰ってくんだよ!高校生にほぼ一人暮らしさせるな!
ってつっこんだら終わりな妄想でした(笑)!